CMEグループが提供するボラティリティ指数（CVOL）は、史上初のシンプルな分散に基づく様々なアセットクラスにわたる金融商品のインプライド・ボラティリティ指数で、世界で最も活発に取引されている主要資産クラスの先物オプションから算出されます。CVOLは、当所独自のシンプルな分散法を用いて権利行使価格ごとにインプライド・ボラティリティ・カーブ全体を加重平均して得られるもので、30日間のフォワード・リスクに対する市場予想をより良く表しています。

CVOLは現在、金融市場とコモディティ市場の5つの資産クラスの主要商品について、ライブストリーミングと終値ベースの2バージョンが提供されています。

• 金利
  • 短期金利
    
    • ユーロドル金利 （90日）
    • ユーロドル金利 1年 ミッドカーブ （90日）
    • ユーロドル金利 2年 ミッドカーブ （90日）
  • 米国債
    • 2年米国債
    • 5年米国債
    • 10年米国債
    • 30年米国債
    • 米国債総合ボラティリティ指数

• 通貨
  • 豪ドル／米ドル
  • カナダドル／米ドル
  • ユーロ／米ドル
  • 英ポンド／米ドル
  • 日本円／米ドル
  • メキシコペソ／米ドル*
  • スイスフラン／米ドル*
  • G5 通貨総合ボラティリティ指数

• 農産物
  • トウモロコシ
  • 大豆
  • 小麦
  • 大豆油
  • 大豆ミール
  • 豚赤身肉 （60日）
  • 生牛 （60日）
  • クラス III 牛乳 （60日）
  • 農産物総合ボラティリティ指数

• エネルギー
  • 軽質スイート原油（WTI）
  • 天然ガス（ヘンリーハブ）
  • RBOB ガソリン
  • NY 港渡し ULSD
  • エネルギー総合ボラティリティ指数

• 貴金属
  • 金
  • 銀
  • 銅
  • 貴金属総合ボラティリティ指数

• クロスアセット
  • コモディティ総合ボラティリティ指数

*終値ベースのみ（ライブストリーミングなし）

ライブストリーミング版と終値ベースのいずれにおいても、以下のCVOL指数と指標を公表しています：

• CVOL指数
• 上方分散指標（UpVar）
• 下方分散指標（DnVar）
• スキュー指標
• コンベクシティ指標
• アット・ザ・マネー 指標（ATM）

  ページトップへ戻る

CVOL指数は、原資産である先物オプション価格に含まれる情報に基づいて、原資産先物の予想リスクすなわちインプライド・ボラティリティを計算したものです。 一般に予測値は今後の30日間を見通したものです。その数値は、オプション・プライシング・モデルで通常使われている年率換算の標準偏差値で表されます。この指数には、アウト・オブ・ザ・マネー（OTM）のコールとアウト・オブ・ザ・マネーのプットのそれぞれをベースとして計算された「UpVar」「DnVar」の指標も含まれており、コールとプットの双方を使用して生成した指標と合わせて、全体的な整合性を持たせています。こうした補足指標により、市場が全体として志向しているリスクの方向がわかるようになっています。

  ページトップへ戻る

CVOL指数は、30日先近辺の時間加重平均値を算出するために、満期が異なる1つまたは2つの先物オプション価格を使用します。

この指標は、実際のオプション価格からその満期近辺で予想される市場の価格領域を推定するもので、満期の異なる2つの先物オプションからそれぞれの独自の分散数値が得られます。各先物オプション価格は隣接する2つの権利行使価格からの平均乖離幅に応じて掛け算され、予想曲線の下での分布領域を算出します。 オプション価格が低いほど（最も近接する2つの権利行使価格までが同じ幅である場合）、原資産の先物がその行使価格帯で満期を迎える可能性は低いことになります。というのも、その地点もしくは近辺での数値を、起こり得る価格帯全ての合計で除して実現可能性を割り出すからです。したがって、これらすべての領域の合計は、原資産である先物価格の予想分散を表すことを意味します。これを年率換算し、分散の測定値の平方根をとることで、市場で一般的に使われている、いわゆる標準的な通常のボラティリティの数値が得られます。

分散を 30 日間（平方根をとる前）に時間加重することで、30 日間の正規分布が計算できます。この30日分の分散を年率換算し、平方根をとることにより、原資産である先物の30日間の予想ボラティリティの推定値が算出されます。

CVOLの概要

  ページトップへ戻る

シンプルな分散とは、ガウス分布とも呼ばれ、正規分布した母集団の標準偏差の二乗です。 シンプルな分散の計算は、原資産や先物価格がマイナス（金利、原油のようなコモディティなど）でも可能です。

これは、対数変換後の分散とは異なる特徴的な点です。対数変換後の分散では原資産や先物が対数正規分布を示すと仮定しており、価格がゼロ以下では計算できません。実のところ、対数変換後の分散によるスワップは数十年にわたって市場で最もよく採用されてきた分散スワップではありますが、資産の実際の価格がゼロである場合、分散が無限大となってしまいます。特定の限月のすべてのオプション価格を使ったボラティリティ指数の場合は、潜在的に無限のペイオフを複製しがちです。このため、こうした対数変換後の分散の指標は、あまり「シンプル」ではないことになります。

CVOL指数は、シンプルな分散（ガウス分布）を基に計算されており、資産クラスが異なる個別商品間や、さらには資産クラス別での比較ができる、一貫性があって扱いやすい指標となっています。

  ページトップへ戻る

主なインプライド・ボラティリティを表すCVOL指数に加え、5つの付随する指標があります。これらは原資産の予想リスクについて特定の側面に注目したもので、オプション価格から算出されます。

5つの指標とは、上方分散（UpVar）、下方分散（DnVar）、スキュー、アット・ザ・マネー（ATM）、コンベクシティです。

  ページトップへ戻る

上方分散（UpVar）は、シンプルな分散と同じ方法で標準偏差を推定するものですが、使用されるデータは OTM（アウト・オブ・ザ・マネー）のコールだけです。比較を同等にするために、この分散推定値を2倍し、コールとプットの両方のデータが含まれる通常の指数を推定するときと同じ条件で比較できるようにします。

  ページトップへ戻る

下方分散（DnVar）は、上方分散と同じように標準偏差を推定するものですが、使用されるデータは OTMのプットだけです。上方分散と同じく、比較を同等にするために、この分散推定値を2倍し、通常の指数の推定と同じ条件で比較できるようにします。

  ページトップへ戻る

スキュー指標は、上方分散と下方分散の数値を比較し、インプライド・ボラティリティがどのくらいプットとコールに織り込まれているかを把握するためのものです。2つの比較方法があり、1 つは両者を差し引いたもの（UpVar - DnVar）で、これが負の値になった場合は、インプライド・ボラティリティはコールよりもプットの方が全体的に高いことを示しています。もう1つの比較方法は、両者を割ったもの（UpVar／DnVar）で、プットのインプライド・ボラティリティが全体として高ければ、この数値は 1.0 よりも小さくなります。

国債の場合は、価格と利回りという2つの数値があります。利回りは債券の価格と反比例の関係にあるため、実際には、利回りベースのUpVarは、価格ベースのDnVarを示すプットで計算します。また、利回りベースのDnVarも、同様に価格ベースのUpVarを示すコールを使って計算されます。

  ページトップへ戻る

アット・ザ・マネー指標（ATM）は、権利行使価格が先物価格と完全に同じオプションのインプライド・ボラティリティです。先物価格がCVOLの計算で使用される既存の権利行使価格と偶然同じ場合、その価格は関数を使ってインプライド・ボラティリティの数値に変換されます。（ブレンナー＆サブラマニアム）。先物価格が既存の権利行使価格の間にある場合は、合成ATM価格を得るために、最も近い既存のオプション価格と、その最も近い権利行使価格と先物価格の差に50デルタを乗じた数値を合計して計算します。この合成価格は、上記と同じ関数を使って同じようにインプライド・ボラティリティの数値に変換されます。

  ページトップへ戻る

コンベクシティは、CVOL指数のアット・ザ・マネー指標（ATM）に対する比率です。この数値は、すべての権利行使価格のオプションから得られた全体的な数値がATMのインプライド・ボラティリティより高い場合は1以上となり、CVOL指数全体がATMのインプライド・ボラティリティより低い場合は1未満となります。この指標は、個々のOTMオプションのインプライド・ボラティリティが順次大きくなることから生じるボラティリティの「スマイル」の形状の度合いを提供します。

  ページトップへ戻る

ライブストリーミングのCVOL指数は、取引セッション中のリアルタイムのオプション市場および先物市場から15秒ごとに算出されます。終値ベースのCVOL指数は、1日1回、通常の取引終了後にオプションと先物の決済価格を用いて算出されます。

ライブストリーミングと終値の計算方法は、どちらもシンプルな分散を用いており同じですが、どこまで離れたアウトオブザマネーのオプションを計算に組み入れるかという点で異なります。ライブストリーミングを計算するアルゴリズムには、瞬間的な相場変動を適切に処理するためのロジックも組み入れられています。

  ページトップへ戻る

5つの資産クラスにおける計29の商品についてCVOL指数と指標、および6つの総合ボラティリティ指数（通貨、金利、エネルギー、貴金属、農産物、複数の資産クラスにわたるコモディティ）を算出・公表しています。

注：商品によってはライブストリーミング版と終値ベースの指標の提供が多少異なっています。 詳細は CVOL指数のリストをご参照ください。

  ページトップへ戻る

総合ボラティリティ指数は、構成される商品のCVOL指数から、各商品の全オプションの取組高のベガを加重して計算されます。この加重システムは、市場における各商品のリスク・プロファイルを金額ベースで正規分布にしたものです。その後、加重値を合計して総合指数としています。

• 米国債CVOL指数：2年債、5年債、10年債、30年債のCVOL指数を総合したボラティリティ指数
  
• G5 通貨CVOL指数：ユーロ、英ポンド、日本円、豪ドル、カナダドルのCVOL指数を総合したボラティリティ指数
• 農産物CVOL指数：トウモロコシ、大豆、小麦、大豆油、大豆ミール、豚赤身肉、生牛、クラスIII牛乳のCVOL指数を総合したボラティリティ指数
• エネルギーCVOL指数： WTI原油、ヘンリーハブ天然ガス、RBOBガソリン、NY港渡しULSDのCVOL指数を総合したボラティリティ指数
• 貴金属CVOL指数：金、銀、銅のCVOL指数を総合したボラティリティ指数
• コモディティCVOL指数：WTI原油、ヘンリーハブ天然ガス、RBOBガソリン、NY港渡しULSD、トウモロコシ、大豆、小麦、豚赤身肉、生牛、クラスIII牛乳、金、銀、銅のCVOL指数を総合したボラティリティ指数

  ページトップへ戻る

各指数と付随する指標の毎日の確定値は、速報値およびファイルが公開された後に、同日中に公開されます。

  ページトップへ戻る

CVOL指数のライブストリーミングは、数秒おきに公開されますが、商品によって開始・終了時刻が異なります。

  ページトップへ戻る

終値ベースおよびライブストリーミング版のCVOL指数は、業界のベストプラクティスに沿い、IOSCOのベンチマーク原則に準拠するように設計されています。IOSCO準拠に関する声明は、CBAのウェブページでご覧いただけます。

  ページトップへ戻る

終値ベースのCVOL指数は、BMRに登録されたベンチマーク群の中に入っており、全世界で使用可能です。英国のBMRの規制対象となっているすべてのベンチマークは、第三国移行ベンチマークとしてEUで使用することが可能です。ベンチマーク規制に関する声明は、CBAのウェブページでご覧いただけます。

  ページトップへ戻る

CVOL指数の管理は、CMEグループ・ベンチマーク・アドミニストレーション社（CBA）が行っています。IOSCOの金融ベンチマーク原則に従い、CBAは監視委員会を設置し、ベンチマーク整合性の精査、およびベンチマーク決定プロセスの検証を行います。また、CVOL指数は定期監査の対象となっています。

  ページトップへ戻る

CVOL指数を詳しく説明した資料がいくつかございます。 それらはすべてCVOL指数のホームページでご覧いただけます。

  ページトップへ戻る

CVOL指数ビジュアライザーは指数の最新値や指標を表示するツールです。なお、このツールは閲覧のみを目的としたものであり、商業目的では使用できません。

また、登録したユーザーはCME DataMineを通じて各指数の終値のヒストリカルデータをダウンロードすることができます。

ライブストリーミング版は、CMEグループのマーケット・データ・プラットフォーム、グーグル・クラウドのプラットフォーム、および認定のデータベンダーを通じて、近日中にライセンス提供される予定です。

  ページトップへ戻る

CVOL指数の終値の算出方法に関する詳しい説明はこちらでご覧になれます。

CVOL指数のライブストリーミングの算出ガイドはこちらでご覧になれます。

  ページトップへ戻る

現在、ライセンスは提供されていませんが、CME はデータの再配信、過去データの使用、派生した使用法、その他一般的な顧客向けのデータのライセンスニーズなど、様々な利用形態に応じたライセンスを直接提供する予定です。さらに、CVOL指数は、特定の認定データベンダーを通じてライセンス供与される予定です。 個別のライセンスニーズについては、CMEデータセールスにご相談ください。

  ページトップへ戻る

CMEグループは現在、再配信業者と協議中で、各ベンダーのプラットフォームやその他のデータサービスでも利用できるように働きかけを行っています。実際のところ、多くの第三者ベンダーでは、新しいデータ製品導入の優先順位は、直接サービスを提供する顧客のニーズに基づいて決定がなされます。CVOL指数がデータサービスの一部に加わるよう、データベンダーにお問い合わせください。

  ページトップへ戻る