ラッセル2000は1979年に小型株のパフォーマンスを追跡し始めて以来、この指標はわずかに上回っているとは言わずとも、大口株のS&P 500®指標(図1)のパフォーマンスと大まかに一致している。
2つの指標の全体的な業績は類似しており、その相関関係は概ね高い(平均0.8で、1年のローリングベースで0.6から0.96に及ぶ)が、時には大きく分岐している。(図2)
小型と大型の相関が高いという事実は多様化のメリットを制限しているため、ロングオンリーの投資のみを行っている投資マネジャーにとってはおそらく少しイライラするものであろう。対照的に、ロング・ショートマネジャーにとっては、この2つの指数の相対的なパフォーマンスの強い傾向、そして間違った側の取引に巻き込まれた場合に重大なリスクから利益を得る可能性を広げます。
これは全てS&P 500®が2014年以降の業績を引き続き維持するのか、またはラッセル2000が再び業績を上回るのか、という質問に尽きる。米国が経済成長の成熟段階にあるという事実から、株式投資家が1980年代と1990年代のように経済拡大に対応すれば、大型の好業績が継続するという議論がある。この評価に再考を促すものとしては、小型は2003年~2007年の経済拡大時に好業績を上げたが、以前の拡大と比較しても確かに比較的短いものであった。
株価収益率(ここでは逆数、収益利回りと見なされる)、株価売上高倍率、株価純資産倍率や配当利回りのような評価尺度は理論整然とした答えを提供することはない。とはいうものの、これらの評価の1つ目である株価収益率は、小型の好業績が始まった15年間(図5)のように、大型株は小型と比較して高値になることはないことを強く示唆している。
それどころか、2つの指数間の利益率の格差は非常に広く、経済拡大の後半ステージに移るにつれラッセル2000を上回るS&P 500®の業績が継続するようになるであろう。
株価純資産倍率と配当利回りはどちらにも強いシグナルを送っていない。S&P 500®株価純資産倍率はラッセル2000と比較して高くなっているが、2000年の極端なレベルとはかけ離れている。(図7)しかし、集計された簿価の意味は疑わしく、買収からのれんを管理する方法や資産価値の会計処理を含めてあらゆる方法で簿価を処理することができる。
企業が配当を本当にごまかすことが出来ない評価方法。それは支払うか、それとも支払わないか。いくつかのセクターではその他よりも多くの配当を払う傾向があり、もちろん大型の方が小型よりも多く支払う傾向にあるが、しかしS&P 500®とラッセル2000の配当利回りのギャップはそれほど憂慮すべきものではない。
Erik Norlandは、CMEグループのエグゼクティブディレクター兼シニアエコノミスト。世界の金融市場に関する経済分析の責任者であり、最新のトレンドと経済要因を評価することで、CMEグループのビジネス戦略、および当グループの市場で取引を行う顧客への影響を分析します。CMEグループのスポークスパーソンの一員でもあり、世界経済、金融、地政学の情勢に関する見解を発信する。
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